6月23日  アスワンでナイル川クルーズ

朝5時過ぎに目を覚ますと列車が止まっている。どうやらルクソールについたらしい。ここには王家の谷など有名な観光地があるが、我々は帰りに滞在予定だ。列車はナイル川沿いにアスワンへ向かう。ナイル川沿線は緑の畑が続いており椰子の木が繁り、畑にはバナナやさとうきびそして何か?野菜が植えられている。朝早くから家族で働いている。ダムが出来るまでは毎年の氾濫で肥沃な土が上流から運ばれ、それで豊かな農業が営まれてきた。エジプトの生活はナイル川と共存しながら何千年も続いてきたのだ。

8時過ぎ定刻に列車は終点
アスワン駅に到着する。駅前ではホテルの客引きやタクシーが盛んに声をかけてくる。歩いてホテルクレオパトラへ。道路は舗装されておらずほこりっぽい。車や馬車、ロバに乗った人が行き交っている。エジプト人に加え肌の色の黒いヌビア人が目立っている。アフリカに来たと言う感じが強い。

チェックイン後有名な
フルーカと言う帆船でのナイル川クルーズと翌日のアスワン観光ツアーの予約をする。午後自分はヌビア人だと言う男性がホテルまで迎えに来る。外に出ると強烈な日差しでものすごく暑い。40度は超えているようで、河岸まで歩いただけで身体が焼けるようだ。

船の上は日陰で程よく風が吹いておりとても気持ちが良い。アスワンとルクソール間をクルーズする客船が何隻か停泊している。船は風を受けながらジグザグに進む。対岸には砂漠の山が続きヌビア人村や岩窟墳墓群が見えている。

熱帯植物が茂る
キッチナー島へ上陸。歩いていると機関銃を持った兵隊らしい若者が珍しい食物があると案内し写真を撮ってやるという。電池が切れていてカメラが使えなかったが、どうも兵隊までチップを貰おうと声をかけてくるようだ。船は次にアスワン博物館へ。この地方で発掘された遺物が展示されているが、お客は我々だけで説明員に取り囲まれる。聞いても分からないので自分たちだけで見て廻りたいと思ってもどうにもならない。ミイラまで見せてくれた。チップを渡して外へ。

灼熱地獄。これ以上陸上を歩くのは無理だ病気になる。早々に船へ戻る。エジプト紅茶を作って飲ませてくれた。約3時間のクルーズで100ポンド(約2000円)。チップを要求されるが小銭が無く20ポンドも渡す。

ホテルへ帰って部屋で休憩することに。この季節は朝早く行動し昼間は休憩しないと身体が持たない。良く見ると男達は店の中や木陰で
水タバコを吸いながらゆっくりしている。6時過ぎに食事とスークへ買い物に出る。ホテルの横の道路沿いにお土産屋が並ぶ賑やかなスーク(市場)がありそろそろ人も増えてきている。

日本人と見ると「コンニチハ」「バザールデゴザール」「スヅキ・ヤクザ」「ミルダケ」などの変な日本語で声をかけてき、買わせようとする。値段交渉がすごい。一度値段を聞こうものなら徹底的に付いてきて値段を下げ買わせようとする。ボンゴみたいな楽器を最初35US$という。次は幾らなら買うかと迫る。帰ろうとすると離れずに値を下げてくる。とうとう5US$まで下げてきたので購入する。お金は大体こんな感じだ。

今のシーズンは観光客が少ないので売るほうも必死のようだ。夕食はラム肉を焼いたエジプト料理をテイクアウエイする。明日はいよいよピラミッドと並びエジプト観光の目玉である巨大遺跡アブシンベル神殿へ行くが、帰りに予定していたタクシーによるツアーを今日の暑さから無理と見てキャンセルする。またここに来て2人とも足がこわって痛くなる。2つのピラミッド入場が原因だ。

6月24日  アブシンベル神殿へ

今日はアスワンから南へ280Km、スーダンとの国境近くにあるアブシンベル神殿に行く。タクシーで空港へ。7:25発エジプト航空でアブシンベルへ。アスワンハイダムでできた巨大なナセル湖と広大な砂漠を見ながら約1時間の飛行だが、これだけ飛んだのにまだナセル湖の上とは実に広い。着陸時ナセル湖のすぐそばにアブシンベル神殿が見えた。

エジプト航空のバスで神殿まで行く、中で日本人の夫婦と会う。ツアーで来たが二人だけだそうだ。しかもガイドもついている。今回の旅で日本人のツアーはほとんど見かけなかった。お誘いを受け一緒に見学することに。

巨大な
ラムセス2世像が4体正面に座る神殿が目の前に。その横には王妃ネフェルトアリの小神殿がある。アスワンハイダム建設時に水没から救うため国際的援助により約5年かけ巨大な神殿はブロックに分けられて移転されたそうだ。中に入ると部屋がいくつかに分かれており壁には当時の戦争の場面などが見事に描かれている。ナイルの果てにこれほど巨大な建造物を作るとは、権力の大きさを感じる。まさに感動ものだ。

帰りも空路アスワンへ。タクシーであの
アスワンハイダムへ寄る。幅3600m高さ111mの巨大なダムで全長500Kmに及ぶナセル湖を造っている。ホテルのロビーで赤ちゃんと子供を連れたエジプトの家族と一緒になる。我々の初孫の写真を見せるとちょうど同じぐらいの年齢でもあり気持ちが通じ一緒に写真におさまる。エジプト英語は独特のなまり(30をサルティ、40をフォルティとRを発音するなど)があるが結構英語を話せる人が多い。日本も見習う必要がある。

このホテルでもタクシーによるツアーのキャンセルの内容と料金でもめてしまった。言っている事が担当で変わる。多分フロントでリベートを取っているんだろう。お金の価値が違うからそれほど腹は立たないがもう少し英語が達者ならばと反省する。

列車で次の観光地
ルクソールへ向かう予定だったが時間があり過ぎるのでバスで早めに行こうと変更することにする。これが大きな間違いであったが。タクシーでバスセンターへ。

停車していたバスにタクシーの運ちゃんが案内してくれ滑り込みで乗車。子供連れや兵隊さんなどで満員だ。カーテンを締め切ってバスは走るが灼熱の太陽の下でだんだん冷房も効かなくなってくるし、また、息苦しくなってくる。やたらとバスが止まりその都度大きな荷物の積み下ろしをしている。こんな風で
3時間でルクソールへ着くだろうか。

だんだん心配になってきた。3時間も過ぎた頃バスが停車して殆どの人が降りだした。着いたかなと思うとどうも違う。売店があり椅子が並べられたどうも休憩所みたいだ。お客は思い思いに飲み物を飲んだりしている。どうやらバスを乗り間違えたようだ。相棒もこの暑さで車に酔ったようだ。列車にしておけばと後悔しても後の祭。店でミネラルウォーターを買う。これがまたまた間違いのもととなる。

出発して約
1時間後車掌がルクソールだと言って道路脇で下ろされる。どうも周囲はそんな町の様子は無い。後で分かったことだが乗ったバスはもっと先まで行く長距離バスで我々は町の入口で下ろされたのだ。軍隊が警備しており、こんな所で降りた日本人は珍しいのですぐ呼ばれてどこに行くかと聞かれる。一般の車を止めてホテルへ連れていけとまで言ってくれる。そこにタクシーが通りかかり一安心する。バス停から歩いて行けると思っていたがとんでもなかった。大失敗。本当に疲れた。

ルクソールのホテルは欧米人が泊まるきれいなホテルだった。それでもツインで35US$と安い。次の日の観光は暑いので欲張らずにポイントを絞って見ようタクシーをフロントで予約する。タクシーの運ちゃんから直接部屋に電話があり70ポンドはエアコンが付いていないエアコン付きは120ポンドだと言う。了解したものの後で考えたら運転手が勝手に電話してきたのかもしれないと疑った。